世間では「看護師の年収は高い」というイメージを持っている方が多いようですが、ひとくちに「看護師」と言っても、正看護師なのか准看護師なのか、さらに働く地域によっても、その平均年収の相場は変わってきます。はたして、実際のところはどの程度違いがあるのでしょうか。このページでは、都道府県別の平均年収を正看護師と准看護師に分けて、細かく傾向を見ていきます。
正看護師の平均年収が低い都道府県は、九州や東北、中国、四国エリアの都道府県が多く、正看護師の平均年収が高い都道府県は、首都圏や関西、東海エリアといった大都市圏に多い結果となっています。このようにエリア間に差ができる点は、その他の職業においても見られる傾向ではありますが、正看護師の場合、平均年収が最も高い東京都と最も低い熊本県では、150万円以上の差があります。正看護師の全国平均年収(473万円)より高い都道府県は17で、半数を大きく下回りますので、平均年収が高い東京都や大阪府といった特定の都道府県が全国の平均年収を底上げしていることがわかります。
准看護師についても、正看護師と同様、大都市圏の平均年収が高く、地方都市圏の平均年収が低い傾向があります。さらに、准看護師の場合、平均年収が最も高い東京都と最も低い佐賀県では、200万円以上の差があります。正看護師と比べ准看護師は、より地域間の平均年収差が大きくなっています。また、都道府県ごとに正看護師及び、准看護師の平均年収差を比較すると、准看護師の平均年収が低い都道府県ほど正看護師の平均年収も低く、平均年収差も大きい傾向があります。兵庫県や鳥取県については、准看護師の平均年収が看護師の平均年収を上回っています。これは、それぞれの職種従事者の年齢層が関係ありそうです。
北海道・東北エリアで平均年収が一番高いのは、正看護師が宮城県で、准看護師が福島県です。また一番低いのは、正看護師・准看護師ともに青森県です。
宮城県と青森県の正看護師平均年収差、福島県と青森県の准看護師平均年収差は80万円程度であり、平均年収差は比較的小さいようです。また北海道・東北エリアの同一都道府県における正看護師と准看護師の職種間平均年収差については、岩手県や福島県、山形県は50万円程度と小さいですが、秋田県や青森県、宮城県は80万円以上の差があり、同一エリア内でも都道府県ごとに平均年収差がある点は、そのほかのエリアとは異なる特徴といえます。
関東エリアには、正看護師と准看護師の平均年収差がともに高く、職種間平均年収格差が少ない都道府県が集まっています。最も平均年収が高い都道府県は、正看護師・准看護師ともに東京都です。全国で見ても、東京都の平均年収が一番高いです。
また関東エリアで一番低いのは、正看護師が千葉県、准看護師が群馬県です。東京都と千葉県の正看護師平均年収差は100万円程度あり、東京都と群馬県の准看護師平均年収差は180万円程度と大きな差があります。また群馬県の場合、正看護師と准看護師の職種間平均年収差が100万円程度ありますが、東京都は正看護師と准看護師の平均年収差が殆どなく、千葉県や埼玉県では50万円程度です。
甲信越・北陸エリアで平均年収が一番高いのは、正看護師が福井県で、准看護師が長野県です。また一番低いのは、正看護師・准看護師ともに富山県です。
福井県と富山県の正看護師平均年収差は30万円程度ですが、長野県と富山県の准看護師平均年収差は100万円程度あります。長野県は准看護師の平均年収が488万円で全国4位、また新潟県も473万円で全国6位と高く、同一エリア内の他の都道府県と異なる特徴を示しています。
また同一都道府県での正看護師と准看護師の平均年収差については、富山県では100万円程度あり、長野県では逆に10万円程度准看護師の方が高い結果となっています。
同一エリア内でも都道府県ごとに正看護師と准看護師で、ある程度職種間平均年収差がある点は、北海道・東北エリアと同様の傾向を示しており、これは大都市圏から離れた地方都市の1つの特徴といえるかもしれません。
東海エリアで平均年収が一番高いのは、正看護師が三重県、僅差の次点で静岡県となり、准看護師が静岡県です。静岡県は東海エリア内だけでなく、全国的にみても平均年収が看護師、准看護師ともに非常に高い水準にあります。また、平均年収が一番低いのは、正看護師が岐阜県で、准看護師が三重県です。三重県・静岡県と岐阜県の正看護師年収差は60万円程度であり、静岡県と三重県の准看護師年収差は70万円程度です。関東エリアや関西エリアと比較すると、正看護師・准看護師それぞれののエリア内年収差は比較的小さいということがわかります。もう一つの特徴的な点として、三重件を除く3県においては、正看護師と准看護師の職種間平均年収差が殆どありません。東海エリアでは珍しく、三重県のみ正看護師と准看護師の年収差が80万円程度ありますが、その他3県では、正看護師と准看護師の年収差は平均して約10万円です。この点も関東エリアや関西エリアでは見られない特徴です。
関西エリアで平均年収が一番高いのは、正看護師が大阪府で、准看護師が兵庫県です。また一番低いのは、正看護師・准看護師ともに滋賀県です。
大阪府と滋賀県の正看護師平均年収差は150万円、兵庫県と滋賀県の准看護師平均年収差は120万円となり、比較的平均年収差は大きく、関東エリアと似たような傾向が見られます。また、同一都道府県の正看護師と准看護師の職種間平均年収差については、兵庫県で正看護師よりも准看護師の方が50万円程度高くなっており、そのほかの都道府県と逆の傾向にあります。その他の関西エリアの都道府県においては、正看護師と准看護師の職種間年収差は40万円程度と、比較的小さくなっています。
中国・四国エリアで平均年収が一番高いのは、正看護師が岡山県で、准看護師が鳥取県です。また一番低いのは、正看護師は鳥取県で、准看護師は高知県です。
岡山県と鳥取県で正看護師平均年収差は50万円あり、鳥取県と高知県で准看護師平均年収差は130万円あります。同一エリア内の都道府県間で、正看護師と准看護師の平均年収格差が大きいのは中国・四国エリアの1つの特徴と言えそうです。
また、同一都道府県の正看護師と准看護師の職種間平均年収差については、鳥取県では准看護師の方が正看護師より50万円程度高いという珍しい結果になっています。その他の都道府県では、80万円以上正看護師の方が高く、比較的年収差が大きい傾向です。同一エリア内でも都道府県ごとに正看護師と准看護師の職種間平均年収差が大きいという点は、北海道・東北エリアや九州・沖縄エリアと同様の傾向であり、大都市圏から離れた地方都市の1つの特徴といえるかもしれません。
九州・沖縄エリアで平均年収が一番高いのは、正看護師が福岡県で、准看護師が沖縄県です。
また一番低いのは、正看護師が熊本県で、准看護師が佐賀県です。この熊本県の正看護師平均年収と、佐賀県の准看護師平均年収は、それぞれ47都道府県の中で一番低くなっています。九州・沖縄エリアは、労働者全体の平均年収も比較的下位の都道府県が多く、平均年収が低いエリアといえるかもしれません。その他に、福岡県と熊本県の正看護師平均年収差、沖縄県と佐賀県の准看護師平均年収差はそれぞれ80万円程度であり、エリア内での年収差は比較的少ないことがわかります。また九州・沖縄エリア内の同一都道府県における正看護師と准看護師の職種間平均年収差は沖縄県では10万円程度ですが、その他の都道府県では80万円程度となり、同一エリア内でも都道府県ごとに職種間平均年収差が大きいという点は、大都市圏から離れた地方都市の1つの特徴といえるかもしれません。