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専門看護師を目指す!

看護技術のスペシャリストである専門看護師。求められる役割や、専門看護師を目指すために必要な経験、教育課程などをまとめました。専門看護師の分野の種類や内容、資格を取得して活躍している看護師さんの人数の一覧も併せて掲載しています。

専門看護師とは…

専門看護師とは、日本看護協会が策定した資格の一つであり、11の特定分野があります。近年、高度化・専門化が進む医療現場において、高い水準の看護ケアを効率よく医療現場に提供することを目的としています。専門看護師制度は1994年にスタートし、分野数、登録者数ともに増加し、2015年には1,400人に達しました。(11分野合計)専門看護師の役割は、「実践・相談・調整・倫理調整・教育・研究」です。認定看護師同様、自ら高い水準の看護ケアを提供し、そのほかの看護師に対し、看護技術の教育と、業務上でのコンサルテーション(専門家による専門家への相談)を行います。それだけでなく、円滑なケアのために医療に関わる人々の調整や、倫理的な問題の解決、また技術向上のための臨床研究も期待されます。専門看護師に求められる役割は高度である分、資格を得るためにクリアしなければならない条件も厳しいです。臨床経験のみならず、学術的な知見を広げて、その分野のエキスパートとして看護を追及していきたいというキャリア志向の方に向いている資格だと言えるでしょう。

専門看護師の資格を取得するには!

一定期間の実務経験が必要

専門看護師の資格を取得するためには、認定看護師同様、実務経験が通算5年以上、そのうち通算3年以上は取得を希望する専門看護分野での実務経験が必要となります。また、取得を希望する看護分野における①看護実績②コンサルテーション③コーディネーション④倫理調整⑤教育活動⑥修士課程における研究活動、合計6項目のについて看護実績報告書の提出がが必要となります。専門看護師と認定看護師に対して求められている役割の違いが、提出が必要となる看護実績報告書の内容に反映されています。専門看護師になりたいと考えている方は、希望する分野での経験が積めるよう職場、配属希望を考えましょう。実務経験の他に、看護系大学大学院の修士課程を修了している必要等はありますが、実務経験を積むことが資格取得のための第一歩となりますので、配属を希望する際にキャリアプランを考えておくことが必要です。

決められた教育課程を修了する

看護系大学大学院修士課程に入学したら、日本看護系大学協会専門看護師教育課程基準で定める26単位または38単位を取得することになります。分野によっては、設置されている大学院が非常に少ない分野もあります。また、大学院によっては、一度実務経験を積んでからでないと受験できない大学院もありますので、あらかじめ希望する分野が設置されている大学院について、受験要綱等を確認しておきましょう。大学院にて修士課程を修了するまでは、座学や臨床、研究等に専念する必要があります。そのため、仕事を継続することは難しく、長期出張の扱い等で仕事を休んだり、休職もしくは仕事を辞める場合も多いようです。キャリアのどのタイミングでどこの大学院に入学するのか等は、自分の人生設計に大きく関わってきますので、しっかりキャリアプランを立てる必要があります。実務経験を積み、大学院修士課程を修了したら、最後は認定審査を受験し、合格するのを残すのみです。

専門看護師資格取得までのステップ

STEP.1

看護師免許を取得

STEP.2

実務経験通算5年以上
※うち通算3年以上は特定分野での経験
看護系大学大学院入学、修了
※日本看護系大学協会が定める一定単位取得

STEP.3

認定審査合格
※認定後も、5年後ごとに更新のための書類審査をうける

専門看護師の分野一覧

専門看護師の分野は全部で11種(2015年09月現在)あります。登録者数は1,400人であり、認定看護師と比べると登録者数は少なくはなります。専門看護師の資格取得のためには大学院を修了する必要があるため、ハードルが高いのかもしれません。しかしながら、これからも医療ニーズに従って、専門看護分野は拡大されていく可能性は十分あるので、専門看護師のニーズはますます高まっていくことが予想されます。

認定分野

専門看護師の分野は認定看護師ほど多くはありません。スタートした時期は認定看護師と変わりませんが、このように分野数の差が生じているのは、求められている役割の差と、1つの分野がカバーしている範囲の差が関係しているのかもしれません。これからの医療ニーズに従って、専門看護分野は拡大されていく可能性は十分あるので、自分が志したい分野において、専門看護が存在しなくとも、自分の専門性を高める分野やキャリアプランを考える際に、専門看護師を選択肢の1つとして考えてみてはいかがでしょうか。

特定分野一覧

分野 人数(2015年現在) 知識・技術
がん看護 581人 がん患者の癌そのものによる痛みや、治療の副作用による痛みについて理解し、患者や家族に対し、質の高い看護を提供します。さらには、そのほかの医療従事者との協力を図り、看護ケアを提供するチーム内の調整の役割も期待されています。
精神看護 207人 精神疾患患者が精神的不安定になっている原因は様々です。そういった患者や、家族と向き合いながら、患者が抱える問題に対して、質の高い看護を提供します。また精神看護分野における、看護師への教育や、自己の専門知識や技術の向上のための研究なども求められています。
地域看護 25人 病院外の産業保健や、保健行政、学校保健、在宅ケア等の領域で、病気の予防や健康増進を目的とし、質の高い看護を提供します。少子高齢化が進む近年では、地域過疎化にる医療の偏在という問題もあり、医療の遍在化や在宅看護がより一層必要とされている時代でもあります。また地域の人々だけでなく、行政や地域の医療機関等の、地域医療に関わる人々との協力、調整という役割も期待されています。
老人看護 79人 病院や介護施設等にて、様々な高齢者に対し、質の高い看護を提供します。高齢者は、認知症や、摂食・嚥下障害、排泄障害、その他の慢性疾患等、複数の疾患を抱えているため、個人個人に合わせた看護が必要となります。また、高齢者の家族の負担に対するケア、介護スタッフをはじめとする医療従事者との協力、調整という役割も期待されています。
小児看護 140人 けがや病気に対し、免疫が未熟な小児が健やかに成長できるように、看護面から支援します。小児は発達・成長段階に応じて、かかりやすい病気や処置方法が異なるため、その点には十分注意が必要となります。また小児の場合、家族や地域社会といった小児を取り巻く環境全体に対し注意を配る必要があるため、そこに関わる他の医療従事者との協働も求められます。
母性看護 49人 周産期における母子やその家族に対し、質の高い看護を提供します。近年、晩婚化や高齢出産、生殖医療技術の進歩に伴い、出産を取り巻く環境が大きく変化しています。そのため、看護ケア技術の研究・向上や、他の医療従事者や関連諸機関、地域と連携した効果的な母児看護が求められています。
慢性疾患看護 117人 慢性疾患を患いながら生活している患者に対する、病状管理や療養生活の支援を提供します。近年では、糖尿病や、心疾患、高血圧といった生活習慣病が慢性疾患の中で注目されており、循環器系や神経系など多岐にわたるため、幅広く、専門的な知識が必要となります。また、慢性疾患は治療・療養は長期化するため、患者だけでなく、家族への負担も大きくなります。そのため長期的に患者の生活そのものを視野に入れた包括的な支援を、地域医療、福祉分野の医療従事者と協働していくことが求められます。
急性・重症患者看護 177人 緊急を要する現場において、急性・重症患者看護師には機能障害の別に問わず、重症疾患の予防・管理のために質の高い看護を求められます。幅広い知識と専門性の高い技術を求められるため、自らの技術の向上だけでなく、現場全体の技術向上のための教育も重要な役割となります。さらには、緊急を要する現場全体のチームワーク促進のために、携わる医療従事者全体の調整等も期待される役割の一つです。
感染症看護 32人 感染看護は専門看護の分野の中でも比較的新しい領域です。感染症流行した際に、患者に質の高い看護を提供します。その他には、感染症を未然に防ぐ予防策を講じることも求めらる重要な役割の一つです。近年感染症が増えている傾向があるため、今後ますます重要な役割を担っていく分野です。
家族支援 37人 家族支援の専門看護師は、患者家の族に対し、ケアを行う看護師です。患者や家族の間に問題が発生した際、家族と患者が主体的に解決できるような良好な家族-看護者関係を形成させることが目標です。そのため他の専門看護師と比べて、求められる知識や技術は特殊です。
在宅看護 22人 在宅看護は、専門看護分野の中で最も新しい分野です。患者と家族が在宅療養を希望する場合、各々の生活空間における在宅療養を支援します。この生活空間というのは、地域も含む広範囲を指します。そのために、訪問看護ステーション等のサービスの管理や運営までも求められています。