通常の流れとしては、内定の連絡があった後、具体的な雇用条件の詳細が提示されます。特に労働時間や賃金などの重要事項については書面で明示すべきことが、労働基準法で雇用主に義務づけられていますので、内定通知書の中に詳細な雇用条件が記載されているケースが多いです。また、後のトラブルを防ぐためにも、少しでも疑問に思ったことがあれば納得するまで確認しておきましょう。もし、追加で口頭・電話口などで待遇・条件を交渉して許可が下りた場合は、必ずその旨も書類に追記してもらい再発行してもらいましょう。口約束だけだと、後々に証拠がなくなり不利になってしまいます。
内定の通知と同時に内定承諾書が届けられ、それに署名・捺印することで正式に内定が確定する施設もあれば、口頭での承諾で終了する施設もあります(厳密には、内定が伝達され、それに対して承諾の意思を示したときに、解約権留保付きの労働契約が成立します)。内定を承諾したら、これ以降は断ることはできないと考えましょう。この手続きも、あまり期間を空けずに(長くても1週間以内、理想は2~3日以内)行なうようにします。また、内定を承諾する場合は、その場もしくはメール・手紙などで内定を頂いたことに対して御礼を述べましょう。その次のステップとして、正式な入職日を決める必要性がありますが、一度決めた入職日は変更することができません。今の職場での有休消化などを確認したうえで、入職日を確定させましょう。入職日も決まったら、オリエンテーションの日時や、ユニフォームなどはどこまで支給されて、どこまで自前で用意する必要性があるのかを確認し、初出勤日から心象が悪くならないよう気をつけましょう。
内定を承諾すると、正式な内定通知書、内定承諾書のフォーマットのほかに、健康診断の案内、事前オリエンテーションのお知らせ、扶養控除等申請書、給与振込先についてなど、入職前に必要な書類が送られてきます(内定通知時に送られてくる場合もあります)。正式な内定通知書にはあなたが事前に確認した雇用条件が記されています。もう一度、誤りがないことを確認した上で、内定承諾書にサインをします。また、併せて源泉徴収書や年金手帳、雇用保険被保険者証、身元保証人のサイン書といったあらかじめ指定された書類の準備も忘れないようにしましょう。
辞退する場合、なるべく早めに返事をするようにしましょう。あなたが辞退してしまうと、再度別の応募者を選考し直さないといけなくなったり、当初の想定より採用予定ポジションの不在期間が長引いてしまったりとその病院に多大な迷惑をかけることになります。辞退する旨は非常に言いづらいことなので先延ばしにしてしまいがちですが、連絡が遅くなるほど迷惑になってしまいますので、意思が決まった時点で早急に連絡をしましょう。また、理由を伝える際は間違っても「この病院よりいい条件で他の病院での内定が決まった」など正直に話すのではなく、「一身上の都合で」などぼやかして伝えるようにすることがマナーとなります。原則として内定承諾後の辞退はNGですが、どうしてもやむを得ない事情で辞退せざるを得ない場合は、こちらとしても一度承諾した以上非があるのを理解した上で、角が立たないように十分に配慮しながら伝えましょう。内定を承諾した時点で病院側は受け入れの準備を始めてしまうため、必ず早い段階で伝え、承諾後の辞退に対して謝罪しましょう。
一方的に「待って」というのではなく、あくまでお願いですから「お待ちいただくことは可能ですか?」とソフトに。場合によっては保留の理由を聞かれることがありますから、あらかじめ、何か当たり障りのない言い訳(「家族を説得するために帰郷する」「配偶者に話をしたい」など)を考えておきましょう。ちなみに本当の保留理由が「他の病院と比較して決めたいから」だとしても、絶対に言わない方が無難です。また、保留にする期間はあくまでも1週間程度にしましょう。待たせすぎてしまうと、採用時期が合わないため内定取り消しになるといった可能性も出てきてしまいます。
「立つ鳥跡を濁さず」ということわざにならって、これまでの勤務先を去るときは"スマートかつスムーズ"を心がけましょう。誠意と常識ある大人の振る舞いが求められます。看護師長含む職場の方への退職の報告から始まり、後任者への業務の引き継ぎ、正式な退職日が決まってからの有給消化、最終出社日の退職の挨拶など、各ステップにおいて気をつけたいことや押さえるべきポイントをまとめました。これらはどれも必ず通過することになるステップですが、それぞれがそれぞれ一歩間違えるだけで大きな揉め事に発展しがちなので、気を抜かずに対策しておきましょう。
病院ごとの内規を確認し、「退職の場合は、退職希望日より何日前にあらかじめ連絡する」などといった規則を破らないよう、転職先が決まったらなるべく早く連絡するようにしましょう。まずは直属の上司や看護師長に退職したいということを直接口頭で報告し、その後、病院側と残務処理や引き継ぎなどをどうするか相談しながら、正式な退職日を決めることになります。また、相談した際に引き止めにあうケースも多く、引き止めに合う理由の多くは、「人が足りないので採用ができるまで待ってほしい」といった内容や「残り期間での引き継ぎが現実的だと思えない、部下・後輩・新人への教育に区切りがつくまでは待ってほしい」といったパターンが多いようです。
受け持ち制の場合は患者様の情報をデータにしてまとめ、マニュアルを作成するなどの工夫をしてしっかりと引き継ぎをしましょう。また、どのようなスケジュール感でどういった項目を誰に引き継いでいくのかを、きちんとExcelなどで引き継ぎ計画書として用意しておくと、自身の整理にもなるだけでなく、看護師長や引き継ぎの後任者からの理解も得られやすくなります。実際に引き継ぐ際は後任がスムーズに把握できるようにわかりやすく教えることを意識します。委員会の内容についてなども漏れなく伝えるようにしましょう。また、引き継ぎに関する質問や確認の時のために退職後の連絡先を残していくことも考えてみましょう。
有給休暇の未消化分が残っていれば、退職日前に消化することは法律的に可能です。消化する場合は、そのことを考慮に入れて退職までのスケジュールを立てる必要があります。時には有給消化を断られてしまう場合もあるかもしれませんが、雇用主である病院側が保有するのは、あくまでも取得時期を変更する権利のみですので、有給取得の拒否自体はできません。もし、有給消化を断固として拒否された場合は労働基準監督署に訴えましょう。ただし、退職するまでは組織の一員ですから、十分な引き継ぎを心がけ、引き継ぎを満足にせずに有給を取得しようとするなど、周囲に迷惑をかけないように配慮してください。また、有休期間中に別の病院に入職することはできません。
お世話になった上司の方々、共に汗を流した同僚たち、看護部のみならずお世話になった医師や施設関係者にも挨拶周りにいきましょう。永遠の別れではないかもしれませんが、心からの感謝の気持ちを伝えてお別れするのがマナー。向き合って伝えられるのがいちばんですが、シフトの関係でなかなか会えない、あるいはちょっと直接には伝えづらい相手に対しては、メッセージカードを送るなどするといいでしょう。